海洋性ミネラルにがん抑制作用

日米グループが突き止める

ろ過し抽出 糖尿病治療でも注目


海水から抽出したミネラル分にがん細胞の増殖を抑える働きがあることを、日米の研究グループが突き止め、27日、フランス・ニースで開かれる「将来の腫瘍(しゅよう)学および腫瘍治療学国際シンポジウム」で報告する。ミネラル分は海水約10Lから1g得られる。糖尿病や肝機能障害の治療にも注目され、大学病院などが臨床効果を調べている。共同研究の医師らは「豊かになったはずの現代の食生活だが、本当に必要な微量栄養が欠けている」と指摘している。
 発表するのは、米ドリュー大の M・ゴーナム准教授と、財団法人基礎腫瘍学研究会腫瘤(しゅりゅう)研究所(東京・国分寺)の小椋武・特別研究員。
 国際シンポでは、ゴーナム准教授が  1.がん細胞3種を培養する実験でミネラル分を与えると、4割まで増殖が抑制された 2.がん患者5人に5ヶ月間、1日に体重10kg当たり0.7gのミネラル分を与えると、がん細胞を攻撃するリンパ球ナチュラルキラー細胞の活性化がいずれも2倍近く上昇した。──と報告。小椋研究員は末期がんの患者に与えて延命効果があったと思われる症状例を紹介する。
 海水からのミネラル分の抽出方法は、同研究所付属の海洋科学研究会が開始した。茨城県大洗海岸沖の海水を採取。過熱、ろ過を繰り返して塩分や人体に有害なものを除外し、冷凍状態で棒状の結晶にする。海中プランクトンの有機成分も取り込まれ、体に吸収されやすい。糖尿病や肝機能障害での効果が確認されているという。現在、大学病院や一般病院20ヵ所ほどで臨床研究が進んでいる。
 岡田正・大阪大医学部教授(小児外科・微量元素)の話
 非常に面白い研究だ。微量元素も、それだけ取り出して人工的に与えればよいものではないと分かっている。海水から抽出したことで、独特の結合状態が出来でいるのでないか。

1996年(平成8年)10月26日 土曜日  41364号 朝日新聞夕刊より